小林賢太郎演劇作品『うるう』を観て
生まれて初めて生の小林賢太郎を観た。
ラーメンズを知ったのは、確か中学2年生の頃だったと思うので、今から10年も前になる。
友達がホラーゲーム「青鬼」の絶叫実況動画と一緒に「日本語学校アメリカン」の動画をUSBに入れてくれた。
言葉遊びの楽しさと言葉の音の心地よさに、すぐにラーメンズにハマった。
当時は友達とファンサイトも作った。
『うるう』を観た。
開演前、舞台幕には森が描かれ、スピーカーからは鳥の鳴き声が流れていた。
今日は精神的に参っていた。
正直、これから小林賢太郎を観るぞという気分ではなかった。
開演。
徳澤青弦さんがチェロを弾く。
小林賢太郎の作品は曲が良い。
小林賢太郎が舞台に上がる。
私は目が良いので、顔が見えた。
見えたが、何も思わなかった。
小林賢太郎だ、と。
私は疲れていた。
小林賢太郎がセリフを喋る。
「ねぎ」の発音が、小林賢太郎だった。
興奮した。
本物の小林賢太郎だった。
今までに観た作品が頭の中に蘇り、それまで頭の中を占めていたものをどこかに押し除けてくれた。
『うるう』は1人芝居。
小林賢太郎が所狭しと劇中に散りばめられていた。
ええ声の兄ちゃん、女性、子ども、老人、何にでもなる。
声色の違う無数の小林健太郎の声が同時に流れるシーンは、カオスだった。
歌う。
小林賢太郎は歌が上手い。
「男女の気持ち」「条例」「バニー部」
歌が上手い。
ラップも上手い。
言葉遊びが大好きである。
怒涛。
怒涛の言葉遊び。
一度にこんなに出しちゃっていいの?と。
それでもまだまだ出てくる。
文字に起こして楽しみたい。
パントマイム、手影絵、仕掛けのよく分からない小道具。
惜しみない。
ネタの1つ1つを分解して、反芻して楽しみたい。
何というか、空気感が、近い。
劇中の人物名の響きも似ていた。
大人のための児童文学と書いてあるし。
「銀河鉄道の夜のような夜」
『うるう』にも幾つもトリビアが登場した。
さらりと言ってのける。
拾って帰ろうと思っても、お構いなしに舞台は進むので、帰る頃には幾つか忘れてしまっている。
起きたら何も覚えていないかもしれない。
面白かった。
これからも何度も小林賢太郎の作品を観たい。